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割安株投資の銘柄分析

 

「割安株投資の銘柄分析」について説明します。

割安株投資とか、バリュー投資は聞いたことあると思います。
株式投資で有名な投資スタイルが成長株投資と割安株投資です。
投資スタイル」の動画で投資スタイルの欠点・利点は説明しましたが、割安株投資は成長株投資と比べてリスクが小さく、リターンが大きいのが利点ですが、リターンが得られる確率が低く、銘柄を探す難易度が高いのが欠点でした。
銘柄を探す難易度が高いとは、割安な銘柄を見つけるのが難しいことです。
割安株投資は大きく2つに分けて業績バリューと資産バリューがあることも説明しましたが、業績バリューは業績に重きを置いた分析、資産バリューは資産に重きを置いた分析になるので、分析する内容も少し変わります。


まず業績バリューと資産バリューに共通して分析すべきことは、業績と財務が安定していることです。
業績は、基本、毎年黒字であることです。
単発的に赤字の年があってはいけない訳ではないので、基本と付けました。
財務は「インカム投資の銘柄分析」の動画で説明したインカム投資と同じで、流動比率130%以上、自己資本比率40%以上、のれん比率80%未満であった方が無難です。
キャッシュフローもインカム投資と同じで、営業キャッシュフローが直近2期連続でマイナスや投資キャッシュフローが直近2期連続でプラスであれば要注意ですので、分析できないようであれば避けた方が無難です。
財務キャッシュフローは毎年マイナスの方が理想ですが、毎年プラスでも自己資本比率が30%ギリギリでなければ問題ありません。


もう1つ業績バリューと資産バリューに共通していることは、株価がどれだけ業績なり資産なりを織り込んでいるかを知ることです。
成長株投資ではPERを使いましたが、割安株投資ではPBRを使います。
PBRは1倍割れが割安と聞いたことあるかも知れませんが、それは違います。
PBRが1倍とは、時価総額と会社の純資産が同じになっている状態です。
もし会社が倒産したら、会社の負債などを清算して、残った資産を現金化して株主に返します。
PBRが1倍なら、純資産が清算した後に残る資産なので、株主が出資した額と同じになっている、すなわち株主が買った価格が返って来るので、損しないことになります。
もしPBRが0.5倍の銘柄を購入して倒産したら、出資した額の2倍返って来ることになりますので、1倍割れは割安と言われる由縁です。
これを解散価値と言いますが、解散価値はあくまで理論上です。
会社は業績が悪いからとすぐに倒産する訳でなく、赤字になっても倒産しないように粘ろうとします。
赤字を出している間に資産は減っていきますので、実際に倒産する時には買った時の純資産より減っています。
また資産には販売用の商品がありますが、倒産するほどの赤字だったので、その商品は不良在庫になっている可能性もありますので、その場合は帳簿上の資産価値がありません。
会社が倒産したら土地や建物や機械などは売却して現金化しますが、急いで売却しようとすると実際の資産価値より安く売らないと売れないこともありますので、その場合は資産分の現金が作れないことになります。
また土地や有価証券は簿価と言って、買った時の値段を帳簿に記載しています。
土地や有価証券は買った時から値段が動きますので、実際の値段である時価は簿価とズレがあります。
PBRは簿価で算出しますので、もし値下がりして時価の方が低かった場合は、売っても帳簿上の額が返って来ません。
このようにPBRが1倍割れしていても、実際に出資額が戻るかわかりません。


ではどのようにPBRを使って株価の織り込み度合を確認するかと言うと、ここで業績バリューと資産バリューで違いが出ます。
業績バリューは業績によって資産が増えていくことを考慮すると、今の株価は織り込んでいないので割安と判断します。
資産バリューは簿価と時価のズレがあることを調べて、簿価では現れない資産価値が会社にあることを株価は織り込んでいないので割安と判断します。
まず業績バリューについて説明します。
当期純利益から配当総額や株主優待の費用などを引くと会社に残る額になりますので、それが純資産として増加する分になります。
会社が毎年利益を計上していれば、その利益から配当などを引いた分が純資産として毎年増加することになり、会社の資産価値は上昇します。
例えば、純資産1000万円の会社が毎年100万円の利益を出し、配当総額30万円分の配当に回しているなら、1年で70万円が会社に残って純資産が増えるので1070万円、2年目は1140万円と会社の資産価値が上昇します。
このように会社の業績を予想することで、その利益から純資産の増え方が予想でき、会社の将来的な資産価値も予想できます。
その将来的な資産価値を株価が織り込んでいないと判断すれば、業績バリューとして投資対象になります。
投資スタイル」の動画で説明した企業の成長サイクルで成熟期の会社の業績を予想するのは、それほど難しい分析は必要ありません。
これが成長サイクルで成長期の会社の業績バリューとなると割安な成長株投資になり、分析は難しくなります。
割安な成長株投資については「割安な成長株投資の銘柄分析」の動画で説明しますので、成長期の会社の業績バリューは含まず説明をします。
銘柄を探す難易度が高い理由は、業績の分析が難しい訳でなく、割安な銘柄を探すのが難しいからです。
分析はそれほど難しくないので、発見されずに割安な状態で放置されていることは少なく、すでに織り込まれて適正価格になっていることが多いです。
それでも探せば割安な銘柄は見つかりますので、根気よく探して割安な銘柄を発掘する必要があります。
どのように業績とPBRを結びつけるかと言うと、ROEとPBRの関係を使います。
ROEは純資産に対して利益を表したものですので、要は配当分を含んではいますが純資産の増える割合を表したものです。
もし無配の会社であれば、ROE分だけ純資産が増えます。
例えば、純資産1000万円の会社が毎年ROE10%で無配なら、1年目の当期純利益100万円で純資産1100万円、2年目の当期純利益110万円で純資産1210万円、3年目の当期純利益121万円で純資産1331万円と純資産が増えます。
ROEが高ければ当期純利益が多くなりますので、純資産の増え方も早くなります。
すなわち、ROEが高いと純資産が増えやすい銘柄なので、将来的な資産価値が高くなり、高いPBRが許容されます。
例えば、純資産1000万円でA社は毎年ROE20%、B社は毎年ROE3%、どちらも無配なら、1年目 A社は当期純利益200万円で純資産1200万円、B社は当期純利益30万円で純資産1030万円、2年目 A社は当期純利益240万円で純資産1440万円、B社は当期純利益31万円で純資産1061万円、5年後 A社の純資産2488万円、B社の純資産1159万円となります。
ROEが高いと純資産が増える速度が速く、将来的な資産価値が高いので、数年先を織り込む株価は高いPBRを許容することができます。
先ほどの例では、5年後にA社の純資産は約2.49倍になるのに対して、B社の純資産は1.16倍にしかなっていません。
株価が5年後を意識して動くのであれば、単純計算でA社はPBR2.5倍、B社はPBR1.1倍まで許容されることになりますが、途中で業績が悪くなる不確定要素なども考慮するとB社は毎年利益を出しているにも関わらずPBR 1倍割れもあり得ます。
例では無配として考えていますが、配当分は純資産が増えませんので、そこは考慮する必要があります。
株価が何年後までの純資産を織り込んでいるか、不確定要素を割り引いて考えてPBRがどれぐらいになるかは、「成長株投資の銘柄分析」の動画で説明した成長株投資の成長率とPERの相場と同じように、ROEとPBRの相場を知る必要があります。
実際に銘柄を見ていると、ROEがどれぐらいだとPBRが何倍まで許容されているかの相場を知ることができます。
その相場を知れば、ROEに対して相場よりPBRが低い銘柄は割安と判断することができ、割安株投資の対象になります。


先ほど割安な銘柄を探すのが難しいと説明しましたが、PBRが低い銘柄でなくて、逆にROEが高まっている銘柄を狙うこともできます。
会社がROEを高める施策をしている場合、今後PBRが高く許容される可能性があります。
ROEを高める施策には、利益を増やすか、純資産を減らす必要があります。
利益を増やすには成長させる、無駄をなくして効率をよくする、借入などを使って投資する方法があります。
純資産を減らすには利益剰余金を減らすのが簡単なので、利益剰余金を使えば良く、利益剰余金を配当で分配するか、自社株買いをすることが多いです。
そのような施策でROEが高められれば、PBRが高く許容される、要は株価が上昇するので、そのような施策をしている会社を投資対象にすることもできます。
実際にROEを高めてPBRが高く許容された例を見てみましょう。
4928ノエビアホールディングスの2023年9月期の通期の決算説明資料です。
ROE の推移が記載されていますが、2016年まではROEは1桁で推移していました。
それが2017年から上昇して、今は15%弱で推移しています。
資料には2013年からしか記載されていませんが、2011年は1.2%、2012年は5.6%ともっと低かったです。
PBRはROE8%未満だった2012年までは1倍割れでしたが、ROE8%を超えた2013年に1倍を超えて、ROE9%を超えた2016年に2倍近くまで許容されるようになり、ROEが10%を超えた2017年以降は3倍を超えて推移しています。
このようにROEを高める施策によってPBRは高く許容されますので、そのような施策をしている会社を投資対象にするのも1つの手です。


PBRにより株価の織り込み度合を知ることはできますが、肝心なROEが予想と違うと意味がありません。
業績バリューでは業績を分析して、ROEがどれぐらいになるか予想する必要があります。
第3段階でその分析をしますが、第2段階以降の分析は「第2段階の銘柄分析」の動画、「第3段階の銘柄分析」の動画で説明します。
第1段階として業績と財務が安定していること、PBRが割安であるか、ROEを高める施策をしていることが確認できれば、第1段階はクリアで、第2段階の分析に入ります。


次は資産バリューについて説明します。
土地や有価証券などは値動きがありますが、帳簿上では買った価格が記載され、実際の価格は貸借対照表に考慮していません。
値段が動くと時価と簿価に差が出ますが、簿価に対して時価が大きくなっているときに、貸借対照表の資産よりも大きな資産を持っていることを株価が織り込んでいなければ割安と判断します。
時価と簿価の差は有価証券報告書を確認するとわかることが多いです。
例えば、上場廃止になったHCSホールディングスの2023年3月期の有価証券報告書です。
投資有価証券の簿価は1億3800万円程ですが、時価は6億4900万円程になっており、大きく値上がりしています。
このように簿価と時価の差を知ることができます。
株価の織り込み度合は業績バリューと同じようにPBRで判断します。
業績バリューはROEに対して相場よりPBRが低い銘柄を割安と判断しますが、資産バリューはROEとPBRの関係は安い必要はなく、相場より高くなければ問題ありません。
その代わり、簿価のPBRは相場相当でも、時価に直した時のPBRがかなり安い必要があります。
資産に着目して、株価がそれを織り込んでいなければ割安と判断して、割安株投資の対象になります。
銘柄を探す難易度が高い理由は、業績の分析が難しい訳でなく、割安な銘柄を探すのが難しいからです。
個別銘柄の有価証券報告書を1つ1つ確認する必要があり、該当する銘柄を探し出すのは時間も苦労も必要です。
第1段階の分析では、業績と財務が安定していること、時価のPBRが割安であることを確認できれば、第1段階はクリアで、第2段階の分析に入ります。
業績バリューでは第3段階で今後のROEの予想が必要でしたが、資産バリューは時価の資産を算出する方に重きを置いているので、今後のROEの予想はそこまで重要ではありません。
ただ、ROEが違うと適正価格を間違えますので、業績の変化を確認するために業績バリューほどしっかり分析しないにしても第2段階の分析をした方が無難です。
第2段階の分析の方法は「第2段階の銘柄分析」の動画で説明しますが、直近の業績が悪い方向に変化がないことだけを確かめるだけでも構いません。


業績バリューも資産バリューも割安な銘柄を探すのが大変なのは同じですが、業績バリューは業績をしっかり分析すること、資産バリューは資産を1つ1つ確認することで割安な銘柄を探し出すので、全く違った大変さです。
2つを比較すると、業績バリューは分析力が必要で、資産バリューは時間と労力が必要です。
逆を言えば時間と労力でカバーすることもできますが、資産バリューは「投資スタイル」の動画で説明したバリュートラップになることも多く、苦労して見つけた銘柄もリターンを得られる確率は業績バリューよりも低くなるのが難点です。
割安株投資の利益確定は、業績バリューも資産バリューも割安であることが投資の条件になっていますので、割安でなくなったら投資の条件から外れます。
すなわち、割安で買って割安でなくなったら売りますので、PBR が安い状態で買って、割安が是正されてPBRが相場並みになったら売る訳です。
確実に売るためにPBRが相場より少し安い所で売るのも1つの手ですし、株価は行き過ぎる傾向があるので、相場より少し高い所で売るのも1つの手です。
ファンダメンタルではすでに割安な状態であるので、ファンダメンタルが理由で株価が大きく売り込まれる可能性は低いです。
割安とはっきりとしたホールドする理由があるので、日々の株価の上下に惑わされずホールドすることができます。
下降トレンドなどテクニカルで株価が下がることもありますが、以前も説明したようにトレンドを確認して投資するようにすれば事前に防げます。
保有中はトレンドが崩れていないか、ROEに変化はないか確認するぐらいで、あとは割安が是正されるまで待ってホールドしておくことができます。

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