「決算短信のサマリー情報」について説明します。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を合わせて財務三表と言いますが、財務3表は決算短信や有価証券報告書で確認することができます。
「銘柄分析の参考資料」の動画で、有価証券報告書は情報量が多く、有価証券報告書の速報として決算短信が開示されると説明しました。
有価証券報告書は100ページ前後の資料にいろいろな情報が記載されているので、欲している情報を探さないといけません。
有価証券報告書を見るのに慣れればどこに何が記載されているかわかるようになるのですが、それでも欲する情報を探す必要はありあり、時間はかかります。
決算短信には銘柄分析に使える情報がまとまったページがあります。
決算短信は本体と添付書類の構成になっています。
本体はサマリー情報とも呼ばれ、財務三表の概要、配当、次期業績の予想、添付書類には本体に関する分析などを数値と解説文章を交えて記載されています。
決算短信の銘柄分析に使える情報がまとまったページとはサマリー情報のことです。
実際に決算短信を見て説明する前に、1つ前年同期比について説明します。
前年同期比とは、前年の同じ時期と比べて何%増減したかを示したものです。
(その期の数字−前の期の数字)÷前の期の数字×100で計算、もしくは(その期の数字÷前の期の数字−1)×100で計算します。
前年同期比がプラスなら前年同期より数字の割合が増加、前年同期比がマイナスなら前年同期より数字の割合が減少したことを示しています。
決算短信や有価証券報告書では1年分の通期の決算内容を比較しますが、四半期決算短信や四半期報告書では決算の途中経過を比較します。
例えば、第2四半期決算短信で記載される前年同期比は、その前の期の第2四半期までの累計とその期の第2四半期までの累計を比較したものになります。
ちなみに、四半期をクオーターとも呼び、第1四半期を1Qと書いて1クオーターとか第1クオーターと呼ぶこともあります。
例えば、今期の1Qの売上高1300万円、営業利益300万円、前期の1Qの売上高1000万円、営業利益400万円なら、売上高の前年同期比は(今期の売上高1300万円−前期の売上高1000万円)÷前期の売上高1000万円×100で30%、営業利益の前年同期比は(今期の営業利益300万円−前期の営業利益400万円)÷前期の売上営業利益400万円×100で−25%です。
これは売上高が前年より30%増、営業利益が前年より25%減だったことを示しています。
ちなみに、売上高が増えることを増収、売上高が減ることを減収、利益が増えることを増益、利益が減ることを減益と言いますので、この例の場合は増収減益です。
それでは実際の決算短信を見てみましょう。
9861吉野家ホールディングスの2024年2月期の決算短信です。
右上の日付は開示された日です。
上部に日本基準と書かれていますので、吉野家ホールディングスはIFRSでなく日本基準を選択しています。
IFRSを選択している会社はIFRSと記載されています。
また連結と記載されていますので、関連子会社や持分法適用会社の決算を合わせた連結決算であることがわかります。
決算短信の1ページ目が本体で、財務三表の概要、配当、次期業績の予想です。
1、2024年2月期の連結業績と記載されている部分が財務三表で、(1)連結経営成績と書かれている部分は損益計算書の概要や収益指標です。
2024年2月期の決算が上段、2023年2月期の決算が下段に2年分記載されており、上の部分に単位が書かれています。
損益計算書の売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の数字が左側、その数字の前年同期比が右側に記載されています。
2023年の売上高は1680億9900万円で前年同期比9.4%増、2024年の売上高は1874億7200万円で前年同期比11.5%増なので、2年連続増収であることがわかります。
経常利益や親会社株主に帰属する当期純利益の前年同期比の欄に付いている三角はマイナスを表しており、2023年の経常利益は前年同期比44.1%減、2024年の経常利益は前年同期比1.5%減なので、2年連続減益であることがわかります。
次の段には1株当たりの当期純利益であるEPS、自己資本当期純利益であるROE、総資産経常利益率であるROA、売上高営業利益率である営業利益率が記載されています。
(2)連結財務状態と書かれている部分は貸借対照表の概要と財務指標、(3)連結キャッシュ・フローの状況と書かれている部分はキャッシュフローの概要です。
連結財務状況には、総資産、純資産、自己資本比率、1株当たり純資産であるBPSが記載されています。
連結キャッシュ・フローの状況には、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフロー、現金同等物の額が記載されています。
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフローの詳細は添付書類に記載されています。
2、配当の状況と記載されている部分が配当金の額で、3、2025年2月期の連結業績予想と記載されている部分が会社の予想する業績です。
配当の状況には過去2年分と2025年の予想が記載されており、1株当たりの配当金の額、配当金の総額、配当性向、純資産配当率、すなわちDOEが記載されています。
2024年については2Qに1株当たり8円、期末に1株当たり10円、合計18円の配当金がありました。
吉野家ホールディングスは2月決算なので、2Qは8月末、期末は2月末の株主に配当金が支払われました。
2025年は2Qに10円、期末に10円、合計20円の配当金を予定しています。
2025年2月期の連結業績予想は会社が予想した業績です。
通期で売上高8.3%増、営業利益12.2%減、当期純利益26.8%減の増収減益を予想しています。
会社の予想が当たるかどうかわかりませんが、一番会社のことを理解した経営陣が見通しとして予想しているので、参考になるのは間違いありません。
なぜそのような予想をしたかは添付書類を見ると記載されています。
このように決算短信の1ページ目を見るだけで会社のファンダメンタルを知ることができます。
今、添付書類は見ませんが、添付書類を見ることでもっと詳細な情報を知ることができます。
銘柄分析の方法や順番は後で説明しますが、決算短信のサマリー情報は一目で会社のファンダメンタルが把握できるので、銘柄分析の第一段階としてとても便利です。
ただ、個々の銘柄の決算短信を確認しないといけないので、時間がかかります。
すべての上場会社のファンダメンタル情報が一目で把握できる本として、東洋経済新報社の会社四季報があります。
会社四季報は3月、6月、9月、12月中旬頃に発売で、3か月に1度しか発売しません。
しかも編集してから発売するまでに時間差があるので、情報としては最新ではありません。
ファンダメンタルはすぐに変わるものではないのでそれでも問題はありませんし、多くの人が利用しているバイブルなので影響力は大きいです。
会社が発表してすぐに情報を手に入れたいようであれば、ファンダメンタルを把握できるwebサイトもあります。
人によって何を使うかは違いますが、それらは銘柄分析に欠かせないツールです。